「小林誠さん、入魂の一冊である」
「それでどうだった?」
「凄い中身に圧倒されたよ。見ても見ても終わらない」
「中身はヤマトなの?」
「かなりの割合はヤマト2199で使用された様々なビジュアル資料だ」
「特に気になったところを何点か」
「最初に出てくる沖田艦のイラスト。実は後のガミラス艦が艦首のあれをラムという解釈で描いている。それから沖田艦の下の僚艦、実はイソカゼでもムラサメでもないオリジナルで艦首がガラス張り」
「シービュー号?」
「むしろB-24と感じたよ」
「他には?」
「結局、戦艦大和への憧憬があり、宇宙戦艦ヤマトも空中戦艦大和も宇宙戦艦ヤマトもラ號もその他の大和もそれに集約されていく。大和ページはそういう構成になっている」
「なるほど」
「ちなみにラ號はいいぞ。大和の弱点左右の副砲が魚雷発射管になっている。それからリボルバー型の射出口がエアロックになっているようだ」
「他には?」
「これで終わりのはずなので頑張ったら続きがあって死ぬという経験は自分にもあるぞ。終わると思ったらぜんぜん終わらなくて愕然とか」
「なんてこった」
「スカイシップ1風の輸送船、3Dモデルは自分しか持っていないので模型は出ないだろう……というのが痺れるね!」
「いいのかよ、それで」
「とりあえず、可能ならスカイシップ1にマッドアングラーの艦橋を付けてみたくなった」
「なんだそりゃ」
「ドラ天のパペットマスター可愛い。これのキットがあればいいよね」
「主役メカはどうでもいいのかよ」
「ちちち。ここに限っては主役は女の子とパペットマスターなのだ。巨大ロボは遠景なのだ」
「なんてこった」
「それでね。ドラ天リブートという言葉を見ていて、なぜリブートなのか……と考えているうちに、昔考えた冗談アニメ企画7メカ合体ザンガンダー7のリブートは意外としっくり来ることに気づいた。宇宙の旅芸人が金を払わない地球に腹を立てて攻撃してくる内容。今の時代にピッタリ」
「待て。それはこの本と関係があるのか?」
「無いよ。でも連想したんだ。そういう広がっていく話題ばかりで楽しいぞ」
「121ページのガンダムモドキ。ガンダム風テイストが残っているがもはやガンダムでは無い別物。このロボのデザインが気に入った」
「どこがいいの?」
「ツノの代わりにアンテナ。顔が無い。そして胯間に銃が接続されている」
「は?」
「胯間に銃だよ」
「どんなエロネタだよ」
「うん。だからさ。自分もSDマスターガンダムの胯間にタンクを付けたけど、もっとスマートにやっているわけだ」
「スマートでもエロいだろう」
「だからさ。本質的にロボ、ミリタリーは男の子の欲望であるという見切られた表現なのだよ」
「しかしなあ、話がそれだけでは男の子の欲望と言われても……」
「うん。だからね最後は【ちち殺し】に繋がるんだよ」
「は?」
「ちなみに、自分も父殺し戦争という小説原稿を抱えていてねえ。はやくこれも公開の段取りを付けないと」
「それも関係ない!」
「つまり、このデザインは最終的に【ちち殺し】によって受け止められるのだ。つまりこの2つはペア。展開と回収なのだ」
ちょっと別の感想 §
「実は最近ZZガンダムをSDとHGUCで作っているのだが、作っていて良かったと思ったね」
「それはどうして?」
「それによっていろいろ分かった。その知識があればこそ見えてくるものがあった」
「ふーん。それでそれが重要?」
「それが、というよりも、そこから派生するものだな」
「具体的にそれはなんだい?」
「自分の分析では、ZZガンダムにはガンダムへの愛と批判と混乱があると感じた。つまり、この本にあるBye-Bye GUNDAMとは、やはりガンダムを捨てられないガンダム愛と、現状への批判と、混乱の収束への方向性の提示が全部あったのだ」
「では僕も批判をしていいかい?」
「なんだね?」
「ぜんぜんヤマトネタじゃねえ!」
その他 §
「何かヤマトネタやれよ」
「小林版戦艦スターシャが載ってるよ。これは凄い」
「なんだって!?」
「星巡る方舟のポスターのカラーボードも載っているよ」
「タイムリーな」
「ヤマト2199の小林さんの仕事は公式設定資料集よりも原画展よりも充実しているよ」
オマケ §
「名前は明示されていないが、艦首にロボットが立っている海上自衛隊の戦艦大和イラスト」
「艦橋じゃないんだね」
「そうだ。でもフィギュアヘッド風でこっちの方がいい」
オマケ2 §
「それにしてもこのスケジュールは何だよ。最終日にやっと熊谷で原画展を見てきたら、ドメラーズと新メカコレデウスーラも発売ですよ。ハイパーウェポン2014も発売ですよ。どんどん、時代から取り残されている感じ?」
「大丈夫だ。ヤマトはもともと話題が古い」
「ひ~」
オマケIII §
「ハイパーウェポン2014を見た後で、緊張感も危機感も無い独りよがりなオタク的言動を見るとやはりガッカリする」
「なぜその話に行くんだ?」
「ハイパーウェポン2014の重要な話題の1つだからだ」
「どのあたりがいけないわけだい?」
「各論に入ったらきりがないからパス」
「たとえば?」
「オタクは犯罪者予備軍では無いが、犯罪者を産み出す温床として機能しているとか。美術館でアニメを扱う事例が増えているにも関わらず大多数のアニメはアートではないとか。バンダイのプラモデルは非常に良く出来ているにも関わらずある種の側面が欠落していて、むしろ退行しつつあるとか。いくらでも話題があるぞ」